霞荘物語

ブログだけど小説?的なものをどかどか貼っていきます。

霞荘物語  episode 1~日課~


 「起きろっ!」
根本小春はこの怒鳴り声で目を覚ました。
「寮の挨拶行ってくるから」
 神谷海斗は少し、苛立った表情を見せつつも、上着を羽織り、管理室を後にした。
 根本小春も、しぶしぶ厚めの上着を着て、建物の外へ出た。
「うー、寒」
吐く息が白い。
 毎朝の日課、看板の確認。
「魔道式研究所霞荘」
今日は問題無かったが、最近はいたずらが多い。
「こなっちゃんおつかれ。この感じだと、今日は何も無かったっぽいけど、どうだった?」
門番に挨拶をかける。
これもまた日課。
霞荘では、戦闘員が交代で門番をしている。今日の門番は神谷小夏だ。
門番と言っても一風変わった門番である。
 この世界では当たり前の様に魔法、魔術が使われている。森に行けば魔物がいる。そんな世界だ。
「おはよう。昨日は藤ヶ谷君が来てたけど、小春さん寝てるって言ったら、文字置いて帰った」
彼の能力は反映と製造。
記憶の範囲内にある物を作るのが製造。
脳内の言語を文字として映し出すのが反映。
「んで、藤ヶ谷君は何だって?」
「ちょっと待ってね」
 小夏がそう言うと、ほんの数秒の間に手元のメモ用紙に用件が浮き出る。
「・・了解で~す! そろそろご飯食べに行こうか」

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